シンデレラ→アレク
継母、義姉→ジェイド、サフィルス

アレクの場合。

「うー、冷たいなぁ」
アレクは城の廊下で一人、目の前にあるバケツの水と格闘していた。
バケツの水はそのまま心神まで凍りつかすかのように冷たい。
指先を少し濡らしただけで、そこから全身に冷えが伝わる。
軽く身震いすると、アレクは気を引き締めてバケツの中に手を入れた。
「アレク様!」
「あ、サフィ」
「もう、そんなことしちゃ駄目じゃないですか。肌、荒れちゃいますよ」
「でもさ、これやらなくっちゃいけないんだろ」
「いいです、アレク様はそんなことしなくても」
きっぱりとサフィルスは断言すると、アレクの冷え切った手を取る。
そうして自身の手と息で暖めた。
「こんなに冷えちゃってるじゃないですか! 誰です!? こんな仕事をアレク様に言いつけたのは!!」
「私ですけど?」
「ジェイド…!」
前方から聞こえた声にサフィルスは叫んだ。
「困りますね、サフィルス。台本どおりに演じてくれないと」
悠然と現れたジェイドは、そのまま二人の前まで歩みを進める。
「台本どおりになんてやってられません! アレク様の手が寒さであかぎれしたらどうするんです!?」
「それはそれで、リアリティが出ていいと思いますけどねえ」
「…貴方という人は…! やっぱり意見が合いませんね!」
ぎっ、と鋭い射るような視線をジェイドにぶつける。
ジェイドはそれを正面から捉えると、そのまま受け流すようにアレクに視線を移した。
「さて…どうします?」
このままではちっとも話が進まない。サフィルスと話し合ったところで意見が交わることは無いのだ。そう考え、アレクの意見を促す。
「う、うん…やっぱり俺がシンデレラって言うのは無理があるよ…。そもそも俺、灰かぶり『姫』、じゃないしさ」
「配役代えというわけですか」
ジェイドの言葉にアレクは首を縦に振る。
「多分…あ、ロードにやってもらうっていうのは?」
「見た目は確かにぴったりですけど…ロードさんに、ですか?」
サフィルスの不安そうな顔をよそに、アレクは大きく頷いた。

戻る 続く
 SSTOP



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